炭酸水素ナトリウムの摂取は自然胃破裂の近接原因の1つとして関与している。 しかし、摂取した炭酸水素ナトリウムと胃酸の反応により放出されるガスの量と速度については、これまで詳細な研究がなされていなかった。 そこで我々は、塩酸を含む溶液に炭酸水素ナトリウムを添加した後のガス放出量を測定するin vitro法を開発した。 その結果、塩酸と炭酸水素ナトリウムは瞬時に反応するが、炭酸の脱水により生成したCO2は水に溶解し、ゆっくりとしか気相に放出されないため、結果としてガスの発生は遅いという結論に至った。 ガス放出速度を決定する主な外来因子は、溶液の体積、反応物の量、反応混合物上の空気量、重炭酸塩添加前の酸溶液のCO2分圧、および攪拌速度である。 また、食品、アルコール、炭酸脱水酵素の存在は、ほとんど影響を及ぼさなかった。 この結果から、炭酸水素ナトリウムの推奨量(ティースプーン2分の1)を摂取しても、ガスの急激な放出は少量であり、おそらく自然胃破裂を引き起こす重要な要因にはならないだろうと考えられる。 一方、消化不良のために実際に炭酸水素ナトリウムを選んで飲んでいる人の量を測定してみると、全員が推奨量を超えていた。 中には、3分以内に数百ミリリットルのガスが放出されるような炭酸水素ナトリウムの量を選択した人もおり、胃が空気、食物、液体で膨張した状態で炭酸水素ナトリウムを摂取した場合、このように不用意に摂取したことが、自然胃破裂の重要な要因となる可能性があると思われます。