テンプレートとは、1978年のウェブスター新大学辞典で、別の分子に対する遺伝コードを伝える生物系の分子(RNAなど)と定義されたものです。 また、1995年のConcise Oxford Dictionary, Ninth Editionでは、テンプレートとは、タンパク質の組み立てを支配する分子パターンなどと説明されている。 これらの広義の定義によれば、DNAはDNA(DNA複製)およびRNA(転写)の鋳型であり、RNAはタンパク質(翻訳)の鋳型であるとされている。 つまり、DNA→DNA→RNA→タンパク質と遺伝情報を伝達するために不可欠な分子体がテンプレートである(セントラルドグマ)。 より正確には、情報を伝達する分子(鋳型)が、受け取る分子(生成物)と直接接触している場合に「鋳型」という言葉が使われます。 したがって、この意味では、翻訳中にメッセンジャーRNAとタンパク質との直接的な相互作用は起こらないので、RNAはタンパク質の鋳型とはならない(タンパク質の生合成を参照)。 なお、セントラルドグマの例外として、RNAを鋳型としてウイルスRNAが合成され(RNAウイルス参照)、さらにレトロウイルスの感染時にはRNAを鋳型としてDNAが合成される(逆転写も参照)。
DNAの複製では、二重らせんがほどけ、それぞれの一本鎖DNA分子が鋳型となって相補鎖が合成されます。 DNAは半保存的複製を行うため、親DNAが鋳型となり、娘DNA分子の構成要素となる。 一方、転写では、DNA鎖が鋳型となってRNAが合成され、その後鋳型から解離する(転写を参照)。 DNAポリメラーゼは、アデニン(A):チミン(T)、グアニン(G):シトシン(C)の塩基対形成規則(ワトソン・クリック塩基対形成)に従って鋳型DNA鎖上にデオキシリボ核酸を配列するため、反応を行うには鋳型とプライマーの両方が必要です(図1)。 その結果、DNA合成に先立ち、RNAプライマーゼによって10 bp以下の小さなRNA分子が合成され、鋳型DNAに相補的なRNAの合成が開始できる(岡崎フラグメントを参照)。 プライマーRNAは、RNAプライマーの合成に先行する領域から伸長したラグドDNA鎖を介して、最終的にDNAに置き換わる(複製フォーク(Yフォーク中間体)の項参照)。 A-T、G-Cの塩基相補性による鋳型-生成物の関係は、100%の正確さではないが、10 3〜104回に1回の割合でミスペアが形成されることになる。 一方、細胞内でゲノムが複製される際には、一般に10〜10回に1回程度しかミスペアが発生しない。 これは、DNAポリメラーゼ自身のプルーフリーディング活性と他のDNA修復機構によって達成されている。
図1. DNAポリメラーゼは鋳型とプライマーを必要とする。 成長する複製フォークでは、DNAヘリカーゼによって提供された一本鎖のDNAがDNAポリメラーゼの鋳型となる。 酵素はプライマーの3′(末端)、新しく合成された鎖、および鋳型鎖と正しく塩基対になっているデオキシリボヌクレオチド-3リン酸の間にホスホジエステル結合を合成する。 ここでは、リード鎖の合成のみを模式的に示している。
生物系における遺伝情報の伝達には、鋳型と生成物の関係が非常に重要である。 しかし、この関係の物理化学的性質そのものは、正確に制御された生物学的プロセスを実行するには十分ではなく、必然的に生じるエラーを修復するために、多くのタンパク質が進化してきたのである。
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